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    ■潮英子のセクシュアリティ・カウンセリング・ファイルNO.2「性欲と向き合う女性達――出張ホストが突破口だった!」

    • 2014.02.24 Monday
    • 13:37

     
     ※大人のためのコラムを掲載する本「大人のコラム」。セクシャリティ・カウンセリングでお馴染みの潮英子様の連載「セクシュアリティ・カウンセリング・ファイル」。同ファイルの“NO.2”は「性欲と向き合う女性達――出張ホストが突破口だった!」になります。同現場で出会い、目の当たりにした、普通や常識に囚われない世界を優しい眼差しで綴ります。ご熟読ください。
     
     
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    私は長年セックスに悩む多くの女性たちのお話を聴いてきましたが、中でも特に印象に残っているのは香苗さん(42歳、仮名)です。
     
    彼女の性に対する前向きな姿勢は、性の不和という解決が難しい問題と取り組む私を勇気づけてくれました。
     
    香苗さんは米どころの地方都市で雑貨屋を営むご主人とその両親、3人の子どものいる大家族。化粧っ気がなく素朴で、お米がおいしくて結婚してから20キロ増えたと豪快に笑う明るい女性です。
     
    彼女の悩みは夫のセックスが粗雑なこと。もともとセックスレスではなく、夫の気まぐれで自分勝手なやり方を我慢するのであれば、月に1回位は誘われていました。
     
    でも、前戯もなく痛いだけの挿入行為は耐えがたく、香苗さんは何度もこのままではもうしたくないと懇願し、指南本やDVDを買ってきて見せたり、自分のテクニックを上げて夫にサービスすることで前戯の大切さに気付いてもらおうとしたり、地道な努力を続けてきました。
     
    しかし、古風な男上位の家柄のせいか、面倒くさがりの性格なのか、夫は一向に香苗さんを喜ばせようという発想をしてくれず、相変わらず挿れるだけのセックス……もうこの人ではダメだな、と諦めモードに入っていきました。
     
    ほとんどの相談者は悩みながらもここで止まってしまうのですが、香苗さんの立派なところは自分の性欲と向き合ったことです。
     
    「私はセックスが大好き。絶対このまま終わりたくない」
    「夫と別れたくはないから、いつか夫が変わってくれるまで、夫に正しい愛撫を要求することは続けていきたい」
    「でも、夫が変わるまで我慢はしたくない。いまの性欲を満たすため、外で男性と出会いたい」
    と自分で結論を出したのです。
     
    不倫行為の是非を判断する権利は私にはありません。バレた時のリスクを背負えるか、聞くことはありますがそれ以上は口を挟みません。ただ、本人が傷つくことがないようにと内心祈るばかりでした。
     
    香苗さんとはその後数年にわたり、3〜4か月に1回位お会いしています。残念ながら夫が自分本位の前戯なしセックスを改めるには至っていません。
     
    しかし、香苗さん自身は着実に自分の欲望を叶えていました。香苗さんの密かなファンタジーは複数の男性に触られながらイキまくること。ただ、いきなり乱交パーティ参加はハードルが高すぎるので、まずはネットで安全そうな出張ホストを探して試してみました。
     
    ホストを利用してわかったことは、サービス内容もテクニックも玉石混交の世界だということ。初めて利用したホストは、小太りの香苗さんを見てあからさまにがっかりした表情をして、おざなりな愛撫で即挿入というプロとして風上にもおけない態度だったそうです。
     
    それでめげないのが香苗さんの逞しさ。運が悪かっただけ、と何人か試すうちに、礼儀正しく優しく愛撫も上手なホストに出会いました。
     
    香苗さんの白いもち肌と巨乳を褒めてくれ、ムードを盛り上げてから全身をたっぷりソフトタッチ。挿入までに1時間以上かけてくれました。
     
    「もちろんあっちはお仕事だとはわかっています。でも、その場限りだったとしても、相手に思いやりや愛情を尽くすことはできると思う。私も相手には愛をこめて抱かれているから快感がある。100%感情が入らないセックスなんてあり得ないから」
     
    夫からは得られなかった深いオーガズムを初体験させてくれたのもそのホストでした。ただ、頻繁に会って情が移るのが恐かったのと、所詮ビジネスということも理解していた香苗さんは数回会ったのちに彼を卒業しました。
     
    「いろんな男性に会って、逆にやっぱり精神的に一番好きなのは夫だということに気付きもしました。夫とセックスでもうまくいけば最高。夫を教育することを諦めずに続けます」
    と晴々とした笑顔で話していました。
     
    セックスへの渇望もこれで落ち着いて一件落着かな……と安心して見ていましたが、先日久しぶりに香苗さんにお会いしたところ、
    「長年のファンタジーを実現しました!」
    と興奮気味に話してくれました。

     
    ある複数プレイのサークルに入り、数人の男性を相手にしたというのです。
    「若くてキレイな子もいたので気おくれしましたが、そこはすべての女性にサービスするというルールがあるらしくて(笑)。私にもたくさんの男性が集まってくれました。10何本の手であちこち触られるってチョー気持ちいい!病みつきになります」
    と、また豪快に笑っていました。聞いている私も思わず羨ましくなるような笑顔でした。
     
    香苗さんの素敵なところは、最終目標はあくまで夫との楽しいセックスで、その努力を続けていることです。最近は、
    「たまーにですが、アソコを触ってから挿れてくれるようになった。まだまだ気持ちはよくないですけど」
    とのこと。
     
    香苗さんの外遊びがバレるのが心配ではありますが、いまある欲望を叶えることを優先し、同時に夫とのセックスへの希望も捨てずにいるバランス感覚はステキだなと思います。香苗さんは間違いなく以前より充実した性生活を送っているのですから。
     
    女性が自分の中の性欲を直視することは恥ずかしく感じられるかもしれません。年齢が高くなれば尚更です。でもセックスが持つメンタルな喜びやフィジカルな快感を我慢したまま一生を終えてほしくない、できることがあれば勇気をもって試してみてほしい、と私はすべての悩める女性に伝えたいのです。
     
     
    ●潮 英子(うしお・えいこ)
     
     大学院で夫婦問題を研究。その後、カップル間のセクシュアリティをテーマに相談活動を行っているカウンセラー。別名でカウンセリング関連の共著や中高年のセックス・ライフを扱った書籍もある。最近は雑誌や新聞などで、コメンティターとして頻繁に登場している。
     

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