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    ■潮英子のセクシュアリティ・カウンセリング・ファイルNO.8「セックスにタブーはない!――複数プレイもあり!?」

    • 2014.11.21 Friday
    • 12:05
    126日(土)に開講する第2回公開講座「悩み多き者よ――大人の“ラブ&セックス”お悩み相談室」で、ゲスト講師を務めていただく潮英子様。潮様には大人のためのコラムを掲載する本「大人のコラム」の執筆もしていただいています。セクシャリティ・カウンセリングでお馴染みの潮英子様の連載「セクシュアリティ・カウンセリング・ファイル」。同ファイルの“NO.8”は、セックスにおける「嗜癖(しへき)」についてです。性的嗜好や性癖は誰にでもあります。嗜癖に関する相談で多いのは、浮気と複数プレイだそうです。

     
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     セックスにおいて「嗜癖(しへき)がある」というと、普通ではない行為を好む人というイメージを抱きます。しかし考えてみたら、オーラル愛撫が禁忌とされていた文化や時代もあるのに、今やほとんどの人がそれを普通のセックスの範疇とみなしているでしょう。SMにしても、軽い拘束や責め言葉程度なら「ソフトSM」と呼ばれて日常のセックスに取り入れられています。
     
    スカトロ系はハードルが高いものの、「お風呂場で彼氏にオシッコをかけてみた」程度なら多くのカップルが体験しているはずです。
     
    私は基本的には、「犯罪行為ではない」「嫌がる相手に強要しない」という条件をクリアしていれば、セックスにタブーはないと思っています。
     
    ハプニングバーやスワッピングを楽しむ夫婦や、お互い公認で複数の恋人を作るポリガミー夫婦を知っていますが、二人の絆は一般の夫婦と変わりありません。ただ、お互いの性嗜好が一致している場合はラッキーですが、一方がそれを望まずに悩んでいることが多いのです。
     
    カウンセリングではそれぞれの立場の方からのご相談を受けるのですが、どちらの言い分にも一理あり難しいなあと感じています。
     
    嗜癖に関する相談で多いのは、浮気と複数プレイ(主に3P)です。浮気癖のある夫というのは古典的なお悩みですが、最近増えているのが3P。ネットで遊べる場を探すことが容易になり、独身時代から楽しんできた男性が悪びれずに妻にも求めたところ拒否されたというパターンです。
     
    同じ性癖がある人を選んでパートナーにすればいいのに、と思うのですが、多くの男性が「交際時代は妻も嫌がらずに応じてくれた」と言うのです。当時は妻もまだ若く、好奇心でアバンチュールも楽しめたのか、あるいはそのうち彼も飽きるだろうと思い、我慢してお付き合いしてくれたのか。いずれにしても、穏やかな日常の連続である結婚生活に満足している妻には、もう刺激的なスパイスなど必要なくなっているのでしょう。
     
    突然ある性癖に目覚めるということがないとは言い切れませんが、何度か試して関心が持てなければ、おそらくその行為はその人には向かないものなのだと思います。
     
    それでもそのくらいのことで離婚はしたくないと思うのであれば、妥協点を見出すしかありません。
     
    達也さんと絵美さんはともに35歳、3歳の子どもがいます。元々仲のいい夫婦だったのですが、子どもが3歳になり育児に一段落着いたと思った達也さんが3Pを提案したことから喧嘩になりました。
     
    「この年になり生活も落ち着いたのに、今更そんな興味はない。あなたがこれまで私とのセックスに満足していなかったと思うとそれがショック」
    と怒る絵美さんに、ついカッとなった達也さんは、
    「ハッキリいってマンネリのセックスを一生続ける自信がない。結婚を続けたいなら俺の望みを叶えてくれ。お前だって昔は俺の目の前で男に抱かれて悶えまくっていたくせに。」
    と妻を辱める言葉を吐いてしまったのです。
     
    「あなたを喜ばせたかっただけじゃない、こんなヘンタイを選ばなきゃよかった!」
    と妻を泣かせてしまいました。
     
    その後、仲直りしたものの、お互い腫れ物に触るようにその話題を避ける毎日が続き、このまま我慢するのはやはり無理だと悩んだ達也さんが率先して来談したのでした。
     
    私は先述した通り、性癖を嫌がる相手に強要しないことはカップルの原則だと思っています。ただ、どちらかが一方的に我慢するのではなく、お互いが多少なりとも妥協し合えたらそれに越したことはないので、二人の気持ちを交互に聞いていきました。
     
    達也さんが男性二人と妻でのプレイをしたいのは、視覚的な刺激で楽しんだり、自分の嫉妬心を煽って性欲を喚起するという理由だけではなく、純粋に妻が楽しむ姿が見たい、妻の喜びを自分の喜びとしたいからだということでした。
     
    「でも奥様は嫌がっているのでは?」と聞いてみると、
    「今は母親となったことと生活が落ち着いたことで性欲が低下していると思う。でも本来は性欲の強い女性で、特別な性癖はなかったけれど自分の欲望を満たすことには貪欲だった。そのエネルギーの強さがまたとても魅力的だった。人間のエネルギーは変わらないと思うし、またそういう面を取り戻してほしい。きっかけがあれば思い出せるんじゃないか。」
    とのことでした。
     
    絵美さんは、当初ずっと「今更もういい」「普通の母親になりたい」というセリフを繰り返していましたが、性欲について考えるうちに、お気に入りのセクシャルファンタジーを持っていること、たまにそれでオナニーをしていること、前のように夫が男性を連れてきて強制的に3Pとなるのは嫌だが、違う形なら妥協できるやり方もあるかも……と軟化していきました。
     
    結局、絵美さんが同意したのは、暗がりの中で夫婦のセックスを他の観察者に見せるということでした。とりあえず触られるのはNGとして、見せるだけなら……と言うのです。絵美さんはかなりのナイスバディだったので、裸に自信があり、それを見せびらかすことには抵抗がなかったのかもしれません。一応進展があったということで、達也さんは喜んでその提案に乗ることにしました。
     
    その後、念願の3Pに至ったのかはわかりませんが、かつて性に積極的で柔軟な思考力のある絵美さんなら、いずれは応じてあげられるのではないかと想像しています。
     
    しかし、最初から生理的に嫌悪感がある妻の場合は無理強いしない方がいいと思います。「浮気したいのではなく、夫婦を基本単位として他の人を交えたいので、外部のサークルでプレイしても面白くない」と、妻を変容させることに執着する男性もいますが、やはりその傾向がもともとゼロでは難しいでしょう。
     
    特定のパートナーとのセックスは、お互いが妥協を繰り返しながら努力して育んでいくものだと思います。
     
    でもこれは性癖のあるなしに関わらず、すべてのカップルに言えることかもしれませんね。
    性欲は、食欲や睡眠欲と違って時間が経てば必ず感じる欲求ではないだけに、高度な知性や技術を駆使して高めていこうという意識が必要なのではないでしょうか。
     
     

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